第4章 その4:「脱毛のとき」




 AC療法1回目投与から17日目の2015年6月25日。

 日記には、ついに「日常が取り戻された感じがする」と書いている。




 尾田平先生に診ていただいた後も、倦怠感、吐き気、動悸、食欲不振、顔の火照り、口元のしびれ、腕や背中の痒み、ホットフラッシュ、喉の渇き、便秘など、実にさまざまな副作用に苦しめられた。

 救いだったのは、炎症を起こしていたくちびるの白い部分がとれたこと。食事がスムーズにできることに「天国だー!」と感じた。




 この期間での大きな変化といえば、やはり「脱毛」だ。

 かなり前から意識していたことでもある。

 予想していたとはいえ、抜け始めたときは衝撃だった。




 指でなにげなくつまんだ髪の束が「するん」と抜け、感触だけでいうなら「抜ける」というより「取れる」という感じだった。

 幾らでも抜け落ちていくので、近いうちにまとめて取り除いたほうがよいだろうと考えつつ、なかなかその決心はつかなかった。




 6月25日のこの日、とうとう決意した。

 入浴時にシャンプーで洗うと…ごっそり抜け落ちた。覚悟はできているので、いっそのこと全部!という勢いで処理していったものの、髪の毛って、思っているよりもずいぶん多いもので、時間がかかり、結局初日は3分の1くらいに減らしたところまでが限界だった。




 それ以降、毎日の入浴時、なかば計画的に髪の毛を処理する自分がいた。いったん始めたことで、心が少しは整理できたのかもしれない。毛髪の抜け方と言えば、夫は以前、尾田平先生に「落ち武者みたいに抜けますか?」と質問したこともあったっけ…、確かに、当たらずも遠からず、といったところだろうか。




 ということで、ウィッグデビューの時が来た。

 美容院でいただいたアドバイスを参考に、いろいろ悩んだ結果、まずはおしゃれ用の手頃なウィッグをと、事前にインターネットで入手していた。

 内巻カールのボブヘア、夫にも、家族にも「似合う!」と言われて、少し気分が明るくなった。




(こんな経験、ありませんか?)




 眉毛や睫毛は少し遅れて脱毛が始まった。眉毛って、顔のパーツの中では地味な存在だと思っていたので、今まであまりメイクにもこだわったことがなかったけれど…人間の表情を人間らしくしてくれる、重要なパーツなのだと実感!

 「なくなって初めてわかる存在感」をいうなら、眉毛ロスは、髪の毛ロス以上のインパクトかもしれなかった。




Pink Rebooorn Story

2024現在、たいへん健康^^ 2015年にステージⅡb、大きさ4.7センチ、Ki67:87%の乳がん発覚。 このサイトでは、乳がん発覚〜術前抗がん剤〜手術+再建終了までの 約1年間の闘病生活を振り返り時系列で綴っています。 待望の妊娠!と思ったら、トリプルネガティブ乳がんでした…

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