第4章 その9:「これで最後」
※変色した爪の写真を載せています。見たくない方は読み進めないでください。
ACも四回目、いよいよ最後の投与を、頭がビリビリする症状を緩和するための酸っぱいアメも持参し、気力を奮い立たせて挑んだ。
とにかく「これで最後!!」…それだけが、この時期の私を支えていた。
四回目の回復期は、これまでになかった症状があらわれた。
- ホットフラッシュ
- 心臓がドゥルルとなる感覚
- 生理が完全にない
- 印象深い夢を見る
これで最後、これで最後… 何を感じるにもするにも、そんなふうに自分を励ました。
しんどいのは体だけではなかった。ほとんどのニュースはどこか遠い世界の出来事なのに、生死に関するニュースには心が過敏に反応した。中学生のいじめ自殺や赤ちゃんの遺棄など、奪われる命なんてものがこの世に存在していることが悲しかった。
テレビを消せば目の前から情報は消えるけれど、命を燃やしながら頑張っている人の苦しみが消えるわけではない。思わず涙があふれることもしばしばあった。
AC療法中の爪の変化があまりにもいちじるしかったので、写真で記録している。
AC投与一回目、二回目、三回目…と、波紋状に爪が変色した。(このあと行うパクリタキセル投与時には見られなかった。)爪が伸びていくにつれて薄くなっていくのだが、投与直後のどす黒さは、どれだけ自分の体がふんばったか証明してくれているようだった。
現在は薄く目立たなくなっている人差し指先端のシミ(右上)も、抗がん剤投与を始めてから出て来たように思う。
ところで、手足の冷却処置について、多くの方はご存じだろうか。
抗がん剤の投与直前、看護師さんたちが、まず保冷剤をタオルでぐるぐる巻きにして、それをさらに、私の指先とつま先にぐるぐる巻きにしていく。冷やすことで抗がん剤の副作用である爪障害を予防・緩和できるらしい。
労力も時間もタオルの量も必要だ。私のほか、一日何百人もの患者さんにこの対応をしている看護師さんたちのことを思うと、やはり医療従事者の皆さんの負担はすごい。このアナログなやり方に代わる、便利な道具が早く普及したらいいのになあと思う。
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